2015年5月10日日曜日

『感想:ブレイブリーセカンド』

 ゼノクロと並行でまったりやっていましたが、金・土で一気にプレイして終わらせてきました。
 楽しい楽しくないよりも疲れた作品だったかなあ。

 まー『ブレイブリーデフォルト』でシナリオを担当した林直孝さんが今作には関わっていないことが懸念要素だったんですよね。ただADVならともかくRPGですし、基本的なスタッフは変わっていないとのことだったので、余程のことがない限り支障はないだろうと考えていましたが、思いのほか支障があった
 いやまあ林さんが参加していたら良い物になったのか、というとその保証は全くないんですけどね! ただ前作に比べるとテキスト、シナリオ周りはイマイチだった、というのが正直な感想になります。

 というわけで、ブレイブリーセカンド自体は「前作越えを狙おうと好評だった部分を意識しすぎた結果、越えることができなかった続編」という印象に落ち着くかな。全体を通して後付け・辻褄合わせ感が漂う雰囲気を感じるといいますか、二次創作という単語をこういう形で使いたくはないんですが、でもやっぱり「公式二次創作」って言葉が近いかな。



●ゲーム部分

 ゲームシステムとしては相変わらずの完成度で、安定したコマンドRPGを楽しむことができます。
 今作では12の新ジョブが追加されていて、前作のジョブと合わせると合計30のジョブを使うことができますしね。もちろん既存ジョブに関しては調整されたものもありますけど、そういった変化も含めてジョブごとの特色を試すのが楽しくなってましたね。
 特に新ジョブは後から追加されたこともあってか、性能に癖のあるものが多いので、データ好きな人にとってはパーティ編成を考えるだけでもわくわくするんじゃないかな。序盤から中盤に掛けては新ジョブメインで行動しますから、必然とその癖を試す機会も多い。
 そして一通りジョブが揃ってくる終盤では、取得した膨大なアビリティを組み合わせてビルドを考える面白さも生まれてくる。そういう意味では、良い拡張ディスクといえるかな。TRPGでいうならサプリメントに近い。

 ただ既存ジョブに関しては毎章サブイベントをクリアしていかないと手に入らないので、サブイベントというよりは「ほぼ必須のイベント」に近かったよなあ、という気がしないでもありません。それに関しては前作も同じではあるんですが、如何せん「既存ジョブを取得する為に前作のボス達と再戦する」というイベントですし、内容も薄いので作業感の強い寄り道要素なんですよね。特に5章以降の再回収巡りはあまりにやり方が適当過ぎた
 アスタリスクの設定上、仕方ないのかもしれませんが、難しいところ。
 ちなみにイベントの性質上、取得するジョブを毎回二択から選んでいくことになりますが、最後までやればちゃんともう片方も回収できるようになってるのでご安心を。

 と、データ的な部分に関しては、集めるのが大変なものの概ね不満無しかな。

 一方でそれ以上の感想が出てこないゲームではあるんですよね。
 戦闘速度調整、エンカウント率調整など、至れりつくせりな仕様もありますし、新システムであるブレイブリーセカンドもイマイチ意図が解らない課金仕様を除けば切り札感ありますし、悪くない。
 ただ……それら全てFtS(フォー・ザ・シークウェル)で体験した仕様なんですよね。
 元々FtSはブレイブリーセカンドに搭載予定の調整・新システムを実装した「完全版を兼ねた廉価版ブレイブリーデフォルト」なので、同じなのは当然だろと言われればそうなんですが、あまりにも代わり映えしなかったので特に言うこともないかなあと。
 むしろ「雑魚敵が強いわりに経験に旨味がないので、格下相手に連チャンを重ねて稼いだ方が美味しい」とか「一部ダンジョン(旧サジッタ遺跡等)の敵バランスがおかしく、エンカウントOFFにしないと初見は辛い」とか「ダンジョンの九割が前作の流用、新規は一割」とか、手抜きな部分の方が目立つので、余計首を傾げてしまうものがあったかな。

 とはいえ、ゲーム的には前作楽しめたなら今作も楽しめると思います。むしろそこがメイン。

●すとーりー……

 冒頭にも書いたんですが、やはり前作を意識しすぎたのが裏目に出たかな。

 設定の拾い方自体は悪くないんですよね。「世界疫病」や「クリスタル正教の腐敗」など、前作で存在した組織・出来事をベースに、可能な限り雰囲気を壊さないように設定を広げて「実はこういう背景があった」という形でセカンドに繋げている。
 特に敵である「グランツ帝国」の幹部達の背景は、概ねブレイブリーデフォルトの「過去」を補足するものなので、本筋に関わらない世界観補完という意味で「こういうことだったのね」と知れる楽しみがあります。
 ただ元々考えられていた設定というよりは、新規勢力である「グランツ帝国」を「続編の新たな敵」として成立させる為に、デフォルトで拾われてなかった設定を掻き集めて後付けした印象が強いかな。そういう意味では良くも悪くも蛇足なので、人によって好みが出るかもしれません。
 この辺が公式二次創作な印象が拭えない原因かなあ。

 中盤以降に起きるどんでん返しや、メタ視点を含めたギミックの数々など、面白い部分も多かったんですが、そこにシナリオが追い付いてなかったので「前作を越えるインパクトを!」という意図が空回りしているように見える。あとグランツ帝国はともかく、キーパーソンであるアルタイル、ベガや、ラスボスであるプロビデンスの設定はわりと「どうしてそうなった」感があるので、終盤はもう考えたくないですね……。ただEND LAYER→SEND PLAYERという言葉遊びとメタ構造は凄く好き。前作のFLYING FAIRY→LYING AIRYをなぞったものですが、こういうのは大切ですよね。前作を意識しすぎることの全てが悪いわけじゃない。
 なので素材は良かったけど使い方が致命的に悪かったかな……。

 あ、でもですね。EDは良かったんですよ。
 舞台を同じくする続編がイマイチになると、必然と前作もそれに巻き込まれる、というのはよくありすぎる話ですが、ブレイブリーセカンドに関しては「可能な限りデフォルトをリスペクトした続編」なので、セカンド単体はともかく、シリーズとしての印象は悪くならなかったんですよね。
 まー前作キャラの性格・言動の描き方は若干ブレているので(パロ台詞過多とか)賛否出そうですけど、FtSの追加シナリオからその傾向はあったと思うので、許容範囲内かな。なのでEDは「デフォルト好きなら見ておいた方が良い」といえるものだったかと思います。

●最後に
 というわけで。
 不満は多かったし、個人的にはオススメもできないんですけど、デフォルト好きならEDは見ておいた方が良いかもしれないって感じですね。ここまで色々広がってくると最後まで付き合うか! みたいな心境になるので、恐らく出るであろうブレイブリーサード(仮)もビクビクしながら待とうと思います(というかエピローグで次回作匂わせる意味深会話やっといて出ないのは悲しすぎる
 ただ続編出るなら、パロ台詞を極力控えめにして、なるべく既存マップの使い回しをやめてほしいところかな。パロ台詞はチュートリアルテキストの寒さは耐えられたんですが、パーティチャットでガンダムネタ出してきたのには「書いてる側は楽しいんだろうけど自重しろやぁ!」と思ってしまったので。あとプリンの艦これネタ。他は本編でパロはやってない、はず。気付いてないだけかもしれないけど!
 それとBGMはもうちょっと何とかした方が良い。Revo信者というわけではないので、コンポーザー変更はどちらでもいい派なんですが、少なくともブレセカのBGMは頭に残らなすぎたので……皇帝戦をギリギリ覚えているぐらいでして、前作は「これ!」って曲が多かったので、ゲームミュージック好きとしては残念でならなかった。

 恐らく出るであろうブレセカ完全廉価版はどうなることか。