ふと思い至って『アイカツ！』を1stシーズンから齧りつくように見ているこの頃です。
この手のアニメ見る大人ってすっかり「大きなお友達」とか「○○おじさん」的なフレーズが定着しているけど、実際見始めると童心に帰りながらも現在の視点で色々噛み砕くことができちゃうんで止められない。穏やかじゃない。ハートキャッチ前後のプリキュアシリーズもそうだけど、まぁ何歳になっても面白いものは面白いんだろうなあ。
それはさておきアイカツに関しては、ゲーセンのカードダス販促を目的とした要素が露骨に見られつつも、それが時としてシュールな面白さというかぶっ飛び方になっているのが魅力かなと思います。例えばゲーセン及びグッズの為のアイカツシステムやアイカツフォンなんかもそうだけど、現代技術を凌駕したAR文化っぷりに「ここはもしやトーキョーN◎VAなのでは？？」と脳内補完していく楽しみ方がある。
この辺、最初は「ライブシーンはどういう場所でやっているんだ？」と首を傾げていたんですけども、話が進むごとにアイカツシステムの内訳が解ってきて「会場ごと強化現実で彩ることができる体感型エンタメなんだ」と理解が追い付いてから一気に面白くなってきた。アイドル達が行うアピールはシステム的に定められたルールだけど、それを行うにはアイドル自身の技量や体力、カリスマ性が必要になってくる。衣装にもレアリティや性能を示す数値はあるけれど、必ずしもそれが全てというわけではない、というところも素晴らしい。こういうデザイナーが製作した衣装をカード化する原理とかも凄い知りたいですね。きっとどっかの博物館には初代アイカツシステムとか、プロトタイプとかが眠っているんだ。
……いやまあ、そういうアニメじゃないのは解っていますはい。
基本的には主人公である星宮いちごという女の子が巻き起こす勢いを楽しむところがあって、アイドルが悩み・苦悩・葛藤を抱えた時、「とにかく走ろう！」と脳筋に直結しながらも、何だかんだそれが解決に導いてしまうテンションとか好きです。
流石に訓練と称して崖を登り始めたり、クリスマスだからとモミの木伐採し始めるいちごには爆笑してしまったけど、そういう真正面からの直球なシュールさを「良い！ これで良い！」と受け止められたらもう勝ちなんですよなあ。いいなあ、アイカツ。
と、何かアイカツについて細かく語ろうと思ったわけじゃないただの近況でした。
まぁそれだけだとアレなので、今見ている2ndシーズンについて少し。
今67話なんですが、正直1stシーズンに比べると方向性がふわふわしているところはあるかな。ドリームアカデミーという新勢力を加えて新しい風を吹かせる、というのは納得なんだけど、その立て方を大きく間違えてしまった印象がある。
いちご達スターライトを凌駕するライバル登場！ として煽るわけでもなく、かといってスターライトという大目標を前に奮闘するドリームアカデミーのアイドル達！ として成長を描くわけでもなく、スタッフが選んだのは「両者引き分け、仲良しこよし」だったんですよね。
大体のライブイベントは「引き分け」という形で拮抗して終わってしまうし、最初の数話で匂わされたライバルフラグも何のその、結果的にスターライト勢の「一年の成長」を見る機会は少なく、ドリアカという新キャラ達の活躍（の説得力）も弱い構成になってしまった。あるのはアイカツ日常回に突如として毎回参戦してくるドリアカアイドル達である。
アイカツで殺伐とした展開を望んでいるわけじゃないんですが、シュールを越えたハイテンションコメディの中に、するりと紛れる切れ味抜群のシビアさもこの作品の味だと思います。なので1stシーズンにおける美月さんといちごの在り方や、それこそトライスター編での蘭の決断のような心動かされる葛藤からのカタルシスが欲しい。65話辺りから、ようやくドリアカへのテコ入れが入ったように感じるので、両校の対決フェスでは明確な決着が見られるといいなあ。
ただ2ndシーズンがつまらないか、というとそんなことはないですな。
正直アイカツはスターライトの方がしっくり来るというか安心する。だけどドリアカのアイドル達も凄く良い子だと思いますし、ティアラ学園長とマスカレードの関係性も群像劇めいた繋がりを形成して味にはなっているんですよ。だからこそ今までの展開が勿体ないと感じるだけで。
そう、ドリアカはもっと魅力的に描けたはずだァ！
まあこれまでの25話分は「溜め」の回だったと信じて見てみます。長く続くアニメには良くも悪くも「面白い期間」と「そうでもない期間」があると思うので。あとは最終回に到達した時、その両方の期間を含めて「これで良かった」と感じられるかが重要だ。
目を見張るほどに洗練された3DCGによるライブシーンもあるしな！ 本当、このライブシーンの進化は凄い。1stシーズンも1話と51話では別物と化しているけど、その変化を越えて2ndシーズンの質感は変わった。
アイカツならここから脚本も巻き返してくれるはず。やってくれるはずだ！
