2014年8月6日水曜日

『感想:Unepic』

 こっそりと『シャリーのアトリエ』をクリアし、Steamサマーセールによって形成されたゲームタワーに挑み始めたわけですが、明日は『閃乱カグラ2 真紅』だし、来週は『ゼルダ無双』が来る。怖いね、震えるね……。それらを遊びながら隙間時間にSteamを、というスタイルになっていくんだろうか、どうなんだろうか。

 ともあれ、今回はサマーセール中に購入していた『Unepic (Steamリンク有)』の紹介を。
 公式のスクリーンショットだけでは伝わり難い、実にユニークな内容の作品でした。
 とりあえずTRPG遊んだことある人はデモ版だけでも触って遊んでみよう。凄い面白いから。


●正しく"Un"epicな異世界漂流物

 Unepicのストーリーは単純明快で、TRPGのセッション中、トイレに立ち寄った主人公が何故か異世界にある『巨大な城』へと飛ばされてしまい、元の世界へ戻る為に探索をするというもの。最近再び流行り出してきた異世界漂流物に近いですが、特徴的なのは主人公の性格と物語の進め方。

 この主人公、TRPGを始めて以来、参加してきたセッションがことごとく全滅必至な難易度だった為、何事も捻くれた目線で物事を解釈する癖があるんですな。いや、まあ、開始から最後までヤクがどうだの女と寝るのがどうだの言ってるし、本編中ではついに女オークにすら欲情しだすので、元々ツワモノだった可能性の方が高いですが。

 そんな主人公が勝手の知らない異世界へ飛ばされ、舞台となる城を如何にして攻略するのか。
 セッションで培ってきた経験を参考にするわけですね。

 だだっ広い部屋に金貨の山がそっと置かれている。普通だったら駆け寄って手にするところだろうが、こんなあからさまに設置しているということは罠が仕掛けてあるに違いない。

 基本的にこういった思考で城内部に設置されているトラップを回避していくわけです。

 それを面白おかしく演出してくれるのが、主人公の肉体を奪おうとしたら逆に取り込まれてしまった城の守護者「ゼラトゥル」。彼は主人公から脱出する為、城の各所にある即死ポイントへ誘導していきますが、その度に主人公が「セッション経験」を基にした持論を語りだし、巧みにそれを回避するという漫才が展開されます。他にも「ロールプレイ」を活かし、城内部にいる他の住人達を騙したりもする。

 この主人公のゲスい言動のあまり、本来敵であるはずの「ゼラトゥル」が正論で突っ込んでしまうギャップがすげー面白いんですよね。洋ゲーなんですが、ローカライズの完成度は非常に高く、『スターウォーズ』等の映画から、『ジョジョの奇妙な冒険』を意識したパロディまで日本語で完備している仕上がり具合。
 TRPGネタも含めてブラックジョークが多めですが、その辺の波長が合えば間違いなく「あるある」と笑いながら城の探索を進められるかと思います。

 もちろんただのブラックコメディではなく、後半へ進むにつれ、「この城は何の為にあるのか」「城の主とは何者なのか」、そして「どうすれば主人公が元の世界へと戻れるのか」という疑問にも触れられていきます。そうして、最初は騙し騙されだった2人の関係も変化していき……というやつですね。

 ちなみにマルチプレイにも専用のストーリーがあり、こちらは「前日談」となっているのも特徴。
 そう、主人公の知識の大本とも言える「鬼畜バランスのセッション」をマルチプレイとして遊べるんですね。ストーリーは「GMのナレーション」「PL達の突っ込み、やり取り」「ロールプレイ」で構成されており、テキスト的な味付けだけでなく、ゲーム中の難易度も本編を上回る勢いでプレイヤーを殺しにかかってくる。

 こちらはよりTRPG系のブラックジョークが詰まっているので、TRPG遊んだことある方は爆笑できるんじゃないでしょうか。……もちろん真に受けちゃあいけませんよ!

●ゲームとしてはオーソドックスな「探索型アクションゲーム」

 そんなUnepicですが、ゲームとしては横スクロールの2Dアクションで、『メトロイド』や『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』と同じテイストといえるかな。

 レベル、装備、ショップ、サブクエストの概念があり、エリアごとに区分された城を探索していく。当然各エリアの最後には定番の巨大ボスが待ち受けている、と。レベルアップするとステータスポイントを獲得し、装備・魔法の熟練度として割り振ることもできるので、ビルド要素があるのも特徴かな。
 雑魚が落とす素材を組み合わせてアイテム作成等も可能。

 後半へ進むにつれ、トラップのイヤらしさは右肩上がりですし、敵もわりと容赦がなくなってきます。ボスはもちろん、雑魚敵にもそれぞれ「効果的な武器、魔法」が設定されていますから、そこを見抜いて装備を切り替えながら対応していく形になる。

 パッドだとショートカットが12スロットあり、最終的にはほぼ全スロットを活用することになるので、わりと操作が忙しくなってきます。キーボードでも可能だけど、個人的にこれはパッドの方が遊びやすいかな。というか、キーボードだとショートカット触るだけで手が攣りそうになるんですよね。

 ただ慣れてくるとその忙しさがクセになってきますし、ボスもそれぞれギミック満載なので、殺されながらどう攻略してやろうかとトライ&エラーする楽しみもある。各エリアには拠点からの近道が存在するので、それを開放していけば再挑戦も容易ですしね。
 サブクエスト報酬、宝箱で手に入る強力なユニークアイテム等もあるんで、どういうビルドをしようか考える楽しみもあるんじゃないでしょうか。

 惜しい点としては、装備・魔法の優劣が露骨に出てしまっているところ。
 攻略がパズルギミック的な分、使用する装備が自然と偏ってきてしまう作りになっていると思います。8種類の装備、2種類の防具、8種類の魔法とデータ量は多いのですが、必ずしもこれら全てに活躍の場が用意されているわけではなく、多様なビルドを試すには、周回プレイやマルチ等で、プレイヤー自ら率先して工夫(≒縛りプレイ)する必要が出てくるかもしれません。

 とはいえ、総合的には安定して面白いアクションRPGです。
 今は夏休みシーズンですし、是非とも光源たるライターを手に異世界へ旅立ってみてください。