いや、でもやっぱり面白かったですね。
Mixiやら何やらでその辺は散々吐き散らしてしまったのですが、改めてファーストシーズンの完成度に震えるといいますか。作画の安定具合でいえばセカンドシーズンが突出していると思いましたが、演出や構成の巧さという意味ではファーストが優れていたかなと。前半部分の作画こそ安定してませんが、後半へ向かうほど洗練されていきますしね。
あと注目すべきは原作ストックを使い切った43話以降の展開かな。
以前も書きましたが、オリジナルキャラクターである東海林を「夏実の相方」とし、残る尺の中で2人の関係性を描き切ったのは英断だったように感じる。美幸に中嶋という存在がいるように、夏実にも東海林がいたっていいんだ、と納得させられてしまう構成力よ。
加えて49~51話の「墨東署捜査線」はラストを締め括るに相応しい熱さだから困る。事件の導入、美幸の挫折と中嶋との生き方、そして主要人物らそれぞれに見せ場が与えられた最後のカーチェイス。この3話分だけでOVAが成立する面白さがあるんですよね。
夏実と東海林の行く末を描いた48話ですら最高なのに、そこから終わりにかけてのテンション上がり具合も優秀とくれば……いやはや、良い物を見させてもらいました。
一方でセカンドシーズンは好き嫌いが分かれそうだったかな。
俺としては愛着のある作品なんですが、振り返ってみると新人ポジションとして焦点が当たった沙織の出番がやや少ないように思えるし、美幸と中嶋の仲も「本田との三角関係」を意識させたわりにはあまり進展しなかったように感じました。
ただ、それはセカンドシーズンを「恋愛ドラマ」として見た場合のお話で、実際は「美幸・中嶋・本田」という三角関係は存在せず、「美幸が夏実から自立できるのか」に焦点を当てたシリーズだったのかもしれません。
というのも、美幸は度々本田に縋りそうになる素振りを見せますけど、それが恋愛感情だと明示はされていませんし、本田も美幸に何か働きかけるわけでもないんですよね。手作り弁当や、本田の娘である恵の存在が「恋愛」を意識させていただけで、言うほど恋愛色はない。
どちらかというと、夏実が墨東署を去るにあたって、逃避先として本田一家(とZAPPER)があったように受け取ることができました。美幸の本田に対する行動は「父親、兄弟」に近しい感じですかね。セカンドシーズンでは「信頼している相手だからこそ弱みは見せたくないし、頼りたくない」という美幸の性格が強調されてますから、夏実や中嶋への態度が曖昧になるのも、全てはそういう裏返しだったのかなと。
26話の温泉旅行回は「夏実から自立できた美幸の最初の行動」と考えれば良いハッピーエンドだった気が致します。
とまあ、長くなってしまいましたが、そういう裏側を考えてみると楽しいんじゃないか、という感想になりました。最初にも言ったように沙織の出番はやや少ないですし、本田が絡む回も多めだったので、1話完結型のファーストに比べるとテンポが悪い部分もあるんですけどね。
ただセカンドにはセカンドの味があるなと再認識しました。
いや、まあフルスロットルも見直しましたが、記憶の中よりは面白かったです。
ファースト、セカンドの出来事が起こっていたり、起こっていなかったりと設定面のとっちらかりっぷりは凄まじいですし、全体を通して「チャーリーズ・エンジェル」めいたスーパーウーマンとして美幸達の活躍を描くテイストだったので、もはやこれはサードシーズンではなくリメイクだという結論に至りました。
まあ実際、制作陣一新されてますし、「過去作の設定を良い所取りしつつ、独自解釈を加えたリメイク説」は間違ってないはず。エピソードも既存回を
突っ込みどころ多いし、コメディ回は大体空回ってるので劣化してると言われれば否定できませんというか劣化してるんですが、「これはこれ」ということで静かに思い出にしようと思います。
でないと何か黒い物が滲み出てきそうになってしまう……! あ、OPは良かったよ!
んでもやっぱり全体を通して良い作品だったなぁ。
ファーストに関しては、今後も作業用に垂れ流しできるぐらい面白かったですね。