フリー戦闘は「本編ステージの再攻略」だったので大半をスルーしてしまいましたが、まぁ機会があればそこも含めて2周目もやりたいような、そうでもないような。
今回はSTINGとの共同開発でしたけど、ネプテューヌシリーズは色々挑戦してくるなあ。
8月にはアクションも出ますよね。
●ノワール(ブラックハート)の魅力を楽しめる意味では良いスピンオフ
言ってしまえば「ノワールファンディスク」とでもいうべき作品でした。
ネプテューヌシリーズは一部を除いて世界観・時系列は繋がっておらず、いずれも同一のキャラクター・根幹設定を用いたパラレルワールドになっているのが特徴なんですが、今作もそのパターンを踏襲していて「ゲイムシジョウ界」という新たな舞台になっています。
最大の変化としてはタイトルの通り、ノワールを主役に据えたところですかね。
プレイヤーはとある事件を切っ掛けとしてノワールの秘書官となり、戦に荒れるゲイムシジョウ界の統一を目指していくことになります。といっても物語としてはそこまで濃いわけでも、シリアスなわけでもない、ハイテンションなトークと、ぼんくらなパロディ・メタ発言が際立ついつものネプテューヌですね。敵として立ちはだかる武将達も、開始時点で顔見知りという設定ですから、全体的にお祭り騒ぎをしながらドンパチをしていくような話です。
もっと突っ込んでいえば「素直になれずにぼっち暴君になってしまったノワールが、心を入れ替えて皆と友達になっていく話」ですな、これは。戦闘は互いが素直になる為の手段であり、ゲイムシジョウ界統一はノワールの人脈を広げる為の方便に近い。
逆に言えば、友達を作ろうと四苦八苦するノワールの姿を楽しめるわけで、彼女が好きな人は是非プレイすべき作品といえるかもしれない。一応プレイヤーは秘書官(男性)なので、ラブコメ要素もあったりしますし。つまり俺得でした。
一方で他のキャラは掘下げが甘いかな?
PVを見ても新規キャラクターである武将達を売りにしていた気はしますが、流石に18人もいると単体の密度が薄くなってしまうのはしょうがないわけで……。外見も含めて魅力的なキャラクターはいますが、あまり期待しない方が良いかもしれません。
今後のネプテューヌシリーズで登場することを願った方が精神的には健全だ!
それに伴ってシナリオも適当というか、ノワール愛でる以外のものはありませんでしたが、個人的にこのシリーズにシナリオは(あまり)求めていないので、こんなものじゃないかな、という感想ではあります。
●ゲームとしては安定のSTINGゲー
んで、ノワール好きにはオススメできるスピンオフなんですが、正直ゲーム部分はしんどい。
コンパイルハートのインフレ具合と、STINGの妙に凝ってしまう気質が入り混じった代物です。
オーソドックスなSLGで、ここまでハッキリとした「癖」を出せるのは逆に凄いのかもしれない……。
今作は全体を通して敵有利な設計になっておりまして、膨大な数のバッドステータス、ステージに配置された地形トラップ、パズル的な傾向の強いギミック、指定属性で殴らないと開かない宝箱と、ターン制のマス目式SLGにしてはユニットの移動に気を使う仕様になっています。
地形トラップは踏んだ時点でダメージ+行動終了になりますし、ギミックも「マップに配置された箱を運搬して道を作る」「ワープゾーンをマッピングして最短ルートでゴールを目指す」といったバリュエーションに富んでいます。
なので、どのユニットを何処へ移動させるか、が肝になってくるわけですが、恐ろしいことにこのゲーム、一般的なSLGと同じく移動先は決められても道中のルートを決定することができません。
上下左右、最初の一歩を何処から始めるか、は決められるんですが、そこからの経路は自動化されています。トラップが多いステージの場合、小刻みに移動をしないと平然とトラップに突っ込んで行動終了という事態に陥るんですよね。
これがスパロボ等ですと、「どう移動するか」よりも「どう配置するか」が重要になってくるので、道中の移動が自動化されていても支障は出ないわけなんですが、ノワールの場合はRTSのように指定したいレベルで移動が重いんですよね。
普段意識していなかったオート移動の隙を突かれたような気分になりました。そういう意味ではSTING鋭いのかもしれない。錯覚かもしれない。
もっとも「慎重に移動しないと死ぬ」を前提とした難易度だとは思うので、この仕様は意図的なんだと思います。加えて敵の性能は「超火力・超射程・超範囲」と、アイディアファクトリー遺伝子を継いだコンパイルハートバランスになっているので、序盤はトラップでの足止め一つが命取りです。
トラップを回避しながらギミックを攻略し、敵を効率的に倒しながら宝箱も回収する、といった時間がかかるステージが基本なので、そういう意味でも癖が強いゲームですなあ。
ちなみに宝箱の中身は有用なものが多いので、回収できるならした方がいいです。この辺りもSTINGっぽさが出ているかな。
と、尖った部分ばかり書いてきましたが、一応プレイヤーにも切り札はあります。
仲間と隣接してスキルを使うことで、LPというゲージを溜めることができるんですな。これを消費して、シリーズお約束の「女神化」や「超必殺技」を使うことができます。「女神化」は性能の向上だけでなく、道中苦しめられたトラップの全てをスルーできるオプション付き。
つまり敵・ステージに苦しめられながらLPを稼いで進軍し、準備が整ったらそれを消費して逆転勝利を狙う、というのが基本的な流れになります。トラップを回避する都合上、どうしてもユニット達は渋滞を起こしますから、それを利用してLPを稼げ! ということになるんですな。
加えて、主役であるノワールの「女神化」は優遇されており、MOV(移動距離)は最長、火力も十分、そして全ユニットで唯一2回行動することができます。この高機動っぷりを活用してサクサク敵を殲滅していくのは素直に楽しい。
ステータスに余裕が出てくる中盤以降は、「いかに効率良くLPを稼ぐか」「どのタイミングで逆転を狙うか」を考える楽しみがありました。そういう意味では「慣れると楽しい」のSTING節なのだろうか。まあ、中盤までのデッドリーささえ越えれば後は楽、という感じでしたね。