最近タグ周りで試行錯誤してたんですけど、Bloggerだと編集が面倒なので、ある程度は垂れ流しにすることにしました。
ということで、ランスシリーズも九作目、待ちに待ったヘルマン編でございます。
前々から告知されていたようにランスシリーズは十作目で完結予定。
ランスIXはその手前、それも鬼畜王時代から(色々な意味で)定評のあったヘルマンが舞台ということで、期待を寄せていたファンも多かったんじゃないかなあ、と思います。
実際、ゲーム自体は適度に時間泥棒させてくれる仕上がりで、発売からクリアするまでの三日間、齧りつくように没頭してました。プレイ後の後味も良く、個人的には良作だったと思います。ただSLGとしてはそこまで存在感があったわけでもなく、どちらかといえばADV寄りのゲームでしたね、今回は。
その辺の感想をちょろっと投げておきます。
●ゲーム性はママトト、進行はランスVI
公式サイトのスクリーンショットを見てもらえれば解るんですが、ゲームシステムは『ママトト』ですね。移動型要塞である「浮要塞」に乗り込み、広大なヘルマンにある敵拠点を襲撃しながら帝都を目指す、というのが主な流れになっています。
基本的にはこちらから攻め込む通常戦がメインですが、敵の浮要塞侵入を防ぐ防衛戦もあります。防衛戦は敵の侵入を防げなかった場合、要塞中枢部を破壊されないように迎撃する最終防衛戦に発展したりもしますね。この際、浮要塞に武装を積んでおくことで、使い捨てではありますが、攻撃・支援を行うこともできます。
SLG自体はシンプルなマス目物で、毎ターン大量に出現する敵を、如何に纏めて、効率良く蹴散らしていくかという「SLG版無双」のようになっています。ただ3Dにした弊害か、全体を通してマップが狭いので、ユニット同士の渋滞が起きやすくなったり、最終的には範囲攻撃持ちが最強、という流れになりやすいのが良くも悪くも、といった感じでしょうか。
逆に進行部分は「ランスVI」の影響が強いかな?
今回のストーリーは章仕立ての一本道で、ADVの合間にSLGパートが入るという、ランスシリーズにしては珍しくシナリオ重視の作り。
あとはヒロイン、個別ルートの概念が導入されたのも大きい変化。
従来のヒロイン、新規ヒロイン合わせて七人の女の子が攻略可能になりました。一周目は正史ルートという形で分岐は起こらないんですが、二周目からは個々のヒロインに合わせたルート(といっても違いは最終ステージのみ)が楽しめます。
まぁこの「ヒロインを攻略できる」というのがランスとしては新鮮でして。
これまで全くデレなかったかなみや魔想さんを落とす過程が見れるのは、ファンとしては垂涎物じゃないでしょーか。新規ヒロイン達も従来ヒロインに匹敵する可愛さを誇るので、この辺りは素直にオススメできますね。そういった部分も含めて、キャラクター(とその人間関係)の掘り下げにも力を入れてる印象。
●総括
で、ランスIX全体の感想ですが、最初に書いたようにADVとして良作といった感じです。
いや、ゲームとしても面白かったんですが、SLGとしてはそこまで多くのことができるわけではありません。コマンドは「移動」「攻撃」「必殺技」の三種類が基本で、熟練P(経験値)で得られる成長の恩恵は薄く、装備の組み合わせで強化するのがメイン。浮要塞のカスタマイズも、本編中で活躍する場面は希少で、範囲攻撃が可能な前衛・遠距離ユニットを育てておけば安定する、というサクサク感です。
あと防御行動である「回避」「受け」は発動率が%表記になっており、それを実行するごとに数値は減少していく、つまり徐々に回避・パリーができなくなっていくという作りになっています。個人的にこの仕様は好みでしたね。防御特化系って無双になりすぎてもいけないんで、大体のゲームだと上限ないしマイナス補正が掛かりやすいんですが、この仕様だと「回避キャラは開幕時、絶対に攻撃が避けられる。X回殴られたら避けにくくなるから撤退させる」といった運用ができるんですよ。防御もリソース管理させているのは御見事です。
なので「SLGでガッツリ遊ぶぞ!」って時には物足りないかもしれませんが、ADVの合間に挟まれる物語を盛り上げる役割としてなら十分なゲーム性という感じかな。一ステージはとにかく快適に進むので、ADVのテンポを妨げることはないですし、温過ぎず、難し過ぎずのラインで遊べました。
浮要塞のカスタマイズ、育成周りも、稼ぎ・強敵マップが多い「自由戦闘(フリーマップ)」の攻略や、高難易度での周回時には機能してきますし、一周する分には「ADVメイン、ゲームはおまけ」、周回・工夫して遊ぶなら「SLGとしても気楽にやり込める」という感じですね。
とはいえ、せっかく熟練Pを振り分けての成長システムがあるわけですから、一周目でも体感的に育成が実感できる方が良かったかもしれません。特定の能力値に特化して熟練Pを注いだ場合、クリアまでに上昇する数値が大体30~40、一方、アイテム一つで上昇する数値が20、というのは流石に偏りすぎかもしれません。
才能レベルとキャラクターの増加によるバランスを考慮して、だとは思うんですが。
で、最大の評価点であるシナリオ。
これは本当に良かったですね。ファン要素を存分に詰め込んだ戦記物をやってくれているんで、最低でもVI~VIIIをプレイ推奨ではありますが、十分完結作に向けた「溜めの作品」になっていると感じました。女性キャラも多いですが、男性キャラ(というかオッサン達)の活躍の場も多く、そして熱い。あとママトトのBGMをアレンジして投入していたところも良い。
全体を通してランスシリーズのシリアス面を活かしきっていたので、個人的には「ホホホホホ」と笑みを浮かべながら没入してしまいました。いや本当、男にも魅力的なキャラ多いんですよ。リックのメンタル的な弱点を掘り下げるイベントとか、よくやってくれたなあ、と思うほどで。
それと全ヒロインルートをクリアすると、正史ルートに「真エピローグ」が出現するんですが、その内容も完結へ向かうに相応しい代物なので、是非見てもらいたいですね。
定番の強敵ともいえる魔人が登場しなかったり、開始から存在を匂わせていたヘルマン高官達の扱いの悪さも含めて、終盤がやや駆け足過ぎたりと、ボリューム不足も感じますが、その辺りはランスXで補ってくれると信じたいですね。
まあ、ヘルマン帝国だから魔人レッドアイは出た方が良かったんじゃ、と思わなくもないですが、フリークの志を継いだパットン達がランスXで相対するという路線になるのかな? あるいはゼスに封印されたカミーラを求めてケイブリスが現れる可能性もありますし、どういう形でランスXが始まるのか、という妄想も捗る作品。
●余談
文字通り余談ですが。
ランスIXは闘神都市3以降、変わりつつあるアリスソフトの集大成、または分岐点というべきゲーム性だったような気がします。シンプルであるが故に手軽く、しかし一回のプレイで網羅することができないリソース制限による中毒性、これがアリスソフトの味だと思っていますが、闘神3を契機に方向性が徐々に変わってきていると思うんですよね。
様々な意見はあるでしょうが、シンプルと淡白、リソース制限とストレスを履き違え、プレイヤーに余分な負担を掛けるゲームになりつつあるな、というのが最近のアリスソフトへの印象だったんですね。
大帝国は言わずもがなですが、ランス・クエストもマグナム+TADAパッチまでは不安定な作品でしたし、背伸びをしすぎて肩に力が入っているのか、試行錯誤の真っ只中なのか、何れにしても昔ほど安定のアリスではなくなってきたと感じています(パスチャ3は何ともいえない普通さですが)
そんな中、オリジナルの味を残しつつも、また新しい操作性で良リメイクされた「ランス01」と、シリーズ初ともいえるテキスト重視のADV+SLGとして打ち出してきた「ランスIX」。
嘗てのアリスソフトゲーは出ないかもしれませんが、今後の作品によって、また違うアリスの味に変わっていくかもしれません。そういう意味でランスXのジャンルが楽しみなような怖いような。個人的にはVI・VIIIみたいなRPGタイプが良いんですが、皆さんはどうなんでしょ?