2014年5月29日木曜日

『感想:天秤のLa DEA。 ~戦女神MEMORIA~』


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 相当前にクリアしていました。
 エウシュリーの代表作でもある戦女神シリーズの1作目『戦女神』のリメイク作ですな。
 シリーズ中、最古の時代から描き続けた『戦女神ZERO』『戦女神VERITA』を経て、ようやく1作目の時代に到達した、というのは何気に凄いことなんじゃないでしょうか。『戦女神2』のリメイクにも期待が高まりつつ、とりあえず今作であるMEMORIAの感想を軽く書いておきます。

 自分はエウシュリーファンなので、諸手を挙げて良作宣言しちゃうんですが、客観的に見ると色々粗も見られた作品でした。オリジナルから逸脱しすぎず、それでいて新規も遊べるようになっていますが、初めて戦女神を遊ぶなら、やはりZEROが良いのかもしれません。
 まあでも、やっぱり好きなブランド・作品なので4月作品では一押しですね。


●システムは概ね一新、それ故にバランスの悪い部分も
 てっきりZERO・VERITAエンジンを使ってくると思っていたんですが、その予想とは裏腹に再度のモデルチェンジが行われています。もっとも味方・敵の行動ゲージを見ながら、半リアルタイム的にコマンドを選択していくフレーム戦闘は継承されていますよ。
 が、共通しているのはそこぐらいで、他のゲーム性は大きく変化していますな。
 ステータスは振分方式からレベルアップによる固定上昇になりましたし、スキル習得もポイントを消費してのスキルツリー型となりました(外見自体は『ファイナルファンタジーX』のスフィア盤めいたアレです)
 あとは探索で得た素材を活用しての「アイテム調合、強化」など、同社製品の『神採りアルケミーマイスター』から採用したと思われる要素もあります。この他、インターフェースなど操作性もガラっと変わってしまいましたが、RPGとしての着眼点は流石の一言で、全体を通して「良きリメイク」になっていると感じます。温かみのあるドットも健在ですしね。

 一方で『戦女神ZERO』のシステムを改良し、より快適なエンジンとなった『戦女神VERITA』には及ばないという惜しさもあります。AUTO戦闘は前作の方が細かく方針が設定できて快適でしたし、戦闘も速度が重視された結果、詠唱・硬直で時間を取られる魔法攻撃が機能しないなど、終盤へ向かうにつれてバランスの粗さが見える結果となりました。
 魔法を詠唱している間に敵火力に押しつぶされてしまうんで、話が進むほどに物理攻撃が最強になってくるんですよね。特にコンボ・総攻撃ができるようになると、物理ダメージのインフレが激化しますから、ますます魔法を採用する理由がない。
 前作までは魔法には魔法の利点、物理には物理の利点があり、敵に合わせた戦術が機能していたように思うので、ここが少し残念でしたね。件のコンボ・総攻撃もそうですが、一新した要素が悉くバランス崩壊を招いていたように感じます。

 もっともシステムの発想が悪かった、とは思いません。
 単純に調整不足と感じる個所が多かっただけなので、次回作(2リメイク?)では改良されて化けてくれることに期待ですね。というかVERITAの完成度が高すぎたんや……。
 お馴染みの周回要素は充実していますし、隠しダンジョンも豊富なので、長く遊べるRPGになっているかと。VERITAに比べると「よし、早速2周目しよう!」って感じにならないのは、まあしょうがないっすね!

●シナリオは概ねオリジナルベース、サブイベントの細かな分岐は御見事
 一方でシナリオはびっくりするほどよくできてました。
 いや、話の規模は小さいんですよ。『戦女神』自体、辺境にある「カドラ廃坑」を探索し、そこで行われている陰謀を解決する、というオーソドックスなストーリーですから。MEMORIAも基本的にはオリジナルに準拠しているので、過去作のように各地を移動したり、世界的な災厄が起こったり、というスケールの大きさはないです。

 代わりにMEMORIAが重視したのは、拠点である「ミルフェの街」のサブイベント。
 この街は二つの勢力(市場)で分かれていて、それぞれにサブキャラクター達が存在し、個々の思惑が交錯している。プレイヤーは本編を進める傍ら、どちらの勢力に味方するかを選ぶことができます。それによってフラグは細かく管理されていきますし、中には特定キャラクターの生死、ミルフェの在り方に関わるイベントも発生するようになります。
 本編とは別途で進行するこのサブイベント群はよくできているなーと感心しましたね。
 あまりにもフラグが綿密過ぎて1周目だけでは追い切れません。全てのイベントを網羅するのは難しそうですが、「ダンジョンと拠点を往復する」という本編の隙間時間を生かしていると思います。

 2周目からはランダムエンカウントもオフにできますから、快適に道中のサブイベントを埋めていくことができますし、やっぱりそういうところは老舗の貫録を感じますね。特に終盤ある条件を満たすと「アビルースを救済するED」に分岐するところはファン必見かな?
 ちゃんと2に向けた伏線も敷かれていますし、EDを迎えた後味も良好だったので、個人的には満足ですね。欲を言えば、屋敷で控えているであろうエクリア達のイベントもあれば良かったかなあという感じですが、そこはあくまでもオリジナル準拠ということなんでしょう。
 次回作に期待したいと思います。

 とまあ、ざっくりですがそんな感じで。