というわけで散々感想を漏らしていたような気もしますが、現在配信されているシェルノサージュの全シナリオが終了しました。大体の紹介・感想は前回書いてしまったのですが、改めて完成度の高い作品だったなと認識できた次第。特に物語が大きく動き出す崩壊編はもっと注目されてもいいんじゃないかな。
各所に仕込まれた何気ない会話や設定が、パズルのピースを埋めるかのように伏線として機能していく様は「流石土屋暁さん、伊達に設定厨じゃないぜ!」と膝を叩いてしまうこと請け合い。
あ、もちろん褒め言葉ですよ、はい。
一方で「オンライン専用」という形式を取ってますから、ADVパートに詰め込める容量(というか一話辺りのプレイ時間)に尺が決まっているのかな、と感じてしまうところもありますね。普通のADVやRPGだったらもっと地域ごとのエピソードをジックリ描けるんだろうなあとか考えてしまいます。
別途DLCとして配布されている『EXTRAシナリオパック』も遊んだのですが、尺やプレイテンポ的な問題で省かれたエピソードだったのかな、という気がしましたし。こちらもプレイ必須といえる程度には良くできた補完シナリオなんですが、「本編だけでいいかな」とスルーしてしまう人も多そうです。
ただ「イオンの夢セカイに潜り、記憶の断片を修復する」というゲームデザインですから、多少時間が飛んでも納得できるようにはなってるんですよね。そこは巧みかな。
とはいえオンラインという形態上、サービスが終了する時がいつかは来ます。その時には一本のADVとして纏めた商品とか出してほしいかな。もっとも、イオンと送る「生活」も重要なパートですから、単純なADVとして出すと魅力が減ってしまうかなとも感じるんですけどね。ここは挑戦的な作品であるが故のジレンマ、といったところでしょうか。
しかし、だからこそシェルノサージュのような個性を持ったADVは貴重だと思います。去年は「ノベルゲームの枠組みを変えるノベルゲーム。」、今年は「君と彼女と彼女の恋。」と意欲作が続いていましたし、来年も刺激的な作品が出てくれるといいなあ。もちろんそこには完結したシェルノサージュも入っていると信じてますよ、ガストちゃん!
ただ内容が内容だけに、下手な感想を書けなかったりもするんですよね。
崩壊編終盤の「メタ構造を逆手に取った演出」は今すぐにでも語りたくなる代物だったんですが、だからこそ実際にプレイしてほしいと思いますし、他にもスマートフォン、公式サイト、初回特典に封入された「資料」など、現実面にも伏線を散りばめている実験作っぷりも評価したい。
この辺りのギミックは機会があれば紹介したいな、とも考えています。
そんなわけで感想にすらなってない散文と共に終わります。
シェルノサージュ最終章と予想される「皇帝編」や、来年一月に出る第二弾作品「アルノサージュ」も大いに期待しております。