来年1月にサージュ・コンチェルトシリーズ第2弾『アルノサージュ』が発売されるということで、第1弾にあたる『シェルノサージュ』のプレイを再開しています。崩壊編の途中で止まっていた状態だったので丁度良かったといえば良かったかな。
これらはガストの新シリーズとして昨年4月よりスタートしている作品群ですが、製作の中核にいるのが土屋ディレクターという点から見ても「アルトネリコのスピンオフ、または続編」と捉えて問題ないと思います。実際「詩魔法」や「Tz波」など、一部の用語が共通しており、アルトネリコの設定資料集を開いてみても「サージュ・コンチェルトは共通世界の別惑星、または別時代」であることが推測できたりします。
まあ、そんな形で先陣を切った『シェルノサージュ』ですが、発売当初は無数のバグ・データ破壊等の問題が散見され、俺を含めた初期ユーザーを阿鼻叫喚に陥れたりもしました。生放送で土屋D自ら登場するなど、良くも悪くも濃密な時期があったのは事実です。
とはいえ、度重なるパッチやメンテナンスを経て、普通に遊べる状態にまで持ち直すことができました。
『RE:Incarnation』としてアップデートされた現在は概ね安心して遊べる作品になったと言えます。
……いや本当ね、長かったですね。
俺も当時セーブ作り直しましたからね。VITAのDB再構築したりね……。
C2エラーコワイッ!
ただ、それだけ意欲的なゲーム性だったとも言えます。
このゲームの主題は「記憶喪失の少女"イオン"と生活し、彼女が何故記憶を失ったのか、現在に至るまで何をしてきたのかを探る」というものです。
ゲームパートは「日常」と「夢世界」の2種類で構成されており、「日常」はイオンと会話をしたり、ガストのお家芸でもある「アイテム調合(と素材採取)」を楽しむパート。「夢世界」は彼女の深層意識に入り込み、損傷している記憶を修復しながら、「イオンの過去」をストーリーとして追っていくパートになっています。
特徴的なのは「日常」なんですよね。
イオンの行動はアルゴリズムによって自動化されていて、現実の時間と連動をして彼女も生活を行っている。プレイヤーは画面をタッチしたり、コマンドで呼びかけることで、会話や食事、アイテム調合をこなしていくわけです。最近なら『ラブプラス』のような生活シミュレーションなわけですね。
でも俺は『ROOMMATE』を挙げておきたいです。
まあ、しかし、これがまた可愛いんですよ。衣装を作成していけば着せ替えもできますし、仮想世界でのダイブではありますが、一応デートっぽいこともこなせます。
その分、ストーリーは「夢世界」に集中していると思うかもしれませんが、実のところ"日常には日常のストーリー性"があります。このゲームにおけるプレイヤーの存在はメタになっていて、「VITAとイオンの端末がつながったことで会話ができる」という導入があるんですね。
つまりプレイヤーの視界は端末に依存しているし、自由に移動することもできない。
『外はどうなっているのか』『イオン以外の人間はいないのか』といった情報は、イオンとの会話や、一定範囲の視界から拾って想像するしかないわけです。
例えば、過去を見る限り、シェルノサージュの世界は破滅の危機に瀕していて、イオンはそれを救うために市井へ送り出された皇帝候補となっています。その上で、「日常」の"今"とは具体的にいつ頃なのか? どうしてイオンは記憶を失ったのか? 世界破滅は防げたのか? という疑問をプレイヤー自ら補完する必要がある。ここが面白いんですよね(この辺は公式でも確認できるのでネタバレってほど突っ込んではいないです。悪しからず)
他にも、イオンの自室のカレンダーからは、何故か「21日」の項目だけが全て省かれています。
最初はバグなのかと思いましたが、どうやらそうでもないようです。もしかしたら、彼女が記憶を失ったことと何か因縁があるのかもしれません。
と、こんな風に手探りで情報を拾い、世界を開拓していくというADV的な面白さは推したいですね。
俺は『ROOMMATE』や『NoeL』といったSS・PS時代の実験ADVが大好きなので、シェルノサージュはまさにツボを突いてきた代物だと豪語しています。
先にも言ったように、当初はその複雑性から色々なバグが発生していたわけなんですが、今は改善されていますし、不都合は少ないと思います。
今も残る短所としては、毎月ストーリーパックとしてシナリオを配信する形式を取っているので、一気にEDまで進めることができない点でしょうか。ただまあ、発売から1年半が経過し、来月から「最終章」がスタートするので、始めるには丁度いい頃だと思われます。
来年に発売される『アルノサージュ』も、世界観的に繋がっているようですしね。
もちろん『アルトネリコ』との繋がりを妄想する意味でもファンには太鼓判な一作。
VITAを持っている方は是非お試しあれ。
※余談
シェルノサージュには、ゲーム外でも様々なギミックが仕込まれています。
例えば「ジェノミライ」と呼ばれるサイトでは、シェルノサージュ世界で稼働している何かしらの端末を覗き見ることができます。ちなみにこの端末、ずっと見てると台詞がポップして、Enterと選択肢で進めるADVになったりします。
あとはそれ繋がりとして、初回パッケージには「人体実験を行っていたとされるジェノミライ研究所のレポート」等が封入されていたりもしました。
このレポートには暗号も仕込まれており、それを解読する遊び方もあったんですよね。
その他「genomiLive」と呼ばれる、シェルノサージュ世界の監視カメラを覗くアプリ等、色々な形で作品へのアプローチが試みられていた時期があります。
どちらかといえば、リアルタイムで追っていくお祭りなので、好まない方もいるかもしれませんが、それをあえて実行していた「ギミックもりもり」な試みは面白いなーと思ってます。